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・ケース紹介・ 股関節 膝 歩き

2020.01.08

去年のケースですが(最も印象深かった) 


ちょっと長文に・・・


70代女性 両側の先天性股関節脱臼 両側とも高度な臼蓋形成不全 左は自家骨移植にて手術済み


同様の股関節症状の方の紹介来院


昨年末に治療を終了しましたが、治療開始は夏前から・・・


症状は臀部の痛みと右膝の痛みと腫脹


さらに一番の希望「歩き方をどうにかしたい」でした


症状には自宅でも行なう三種類の動作触れ方を繰り返すことで落ち着きましたが


歩きは変わらず同じ


両膝がこすれるような内股 上体を左右にスイング 右膝が曲がったまま伸びない 靴はロールアウトするため外側が極端に減る


これらを治して歩こうものならすぐ痛みが出る


なんでか


体がその歩き方を必要としているから


症状の治療よりこの認識を受け入れるほうに時間がかかりました


なんせ


物心ついた頃から必死に正しい歩き方を求めてきた


体育もほとんど見学したし、たぶん歩容をからかわれたこともあったでしょう


さまざま受けてきた治療でも必ず脚の筋力強化と歩き方の改善を指摘された


ですもん


「その歩きでいいんですよといわれても・・・」 


ですよね・・・


変えてくれると期待しての来院だったのでしょうね


手術にて骨格型を変化させれば、歩容の変化も幾分出るでしょうが


一度経験した手術後の生活がつらく「もうしたくない」とのこと


ならばなおさら正しい認識を持つことが大切になる


極端な内股も


上体をスイングして歩くことも


右膝が伸びないことも


靴の外側がすぐなくなってしまうことも


今の骨格にとって役に立つから変わらない


本人の頭で描いた歩きでは構造上不安定になるから


身体はその描いた正しい歩き方?拒否します


文字で起こすのは面倒なのですが一部だけ解説します


先天性股関節脱臼の場合高確率で臼蓋形成が十分行なわれません(関節が形成されるためのきっかけとなる刺激が脱臼しているため得られないから)


すると身体は


少しでも関節の適合性を高めようと内股を選択する


それを効率よくできるよう成長戦略として股関節のねじれ(前捻角)を増大させる


上記の工夫を通して歩きを成り立たせようとしたわけです


先のご本人の歩き方の悩みはすべて股関節の適合性を得ようとした身体の工夫の様子の結果右膝伸びない伸展制限は、上方に変位した左脚に長さを合わせるための工夫)


こうした認識療法を症状の治療とともに繰り返させていただきました


三ヶ月くらいたった頃


「このままでよかったんですね」


といっていただけました


変えようと思ってもそうは問屋はおろさない状態だったんです


ある意味60年近く追い求めてきた概念手放すのは酷な事でしょうが・・・


症状も軽くなり久しぶりに参加できた兄弟旅行


「もっとまっすぐ歩いたほうがいいんじゃない?」 (かばおうとしてないから余計目立つ)


といわれたのですが


「私はこれがあってるの」


と伝えたと報告いただきました


膝の痛みも出ることなく予定のコースをこなせたそうです


頭は骨格さえも努力で変えられそうに想像するもの


でも変わりません


簡単に変わってはまずいもの


変わるならば


吊り輪の選手はどんだけ高身長で腕が長くなるでしょう・・・


マラソン選手はレースごとに脚が短くなるでしょうか?


ちなみにこの方が予定していた膝の関節手術はほぼ症状がなくなったため様子を見るように延期となりました

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